〈三国志紹介 コミック〉

※どの本についても完全にネタばれしてます。お読みになる時は気をつけて下さい。


『三国志アンソロジー 三国遊戯』 920円 (作者:多数 出版:光彩書房)

 …三国志を題材にしたアンソロジーコミックです。
   他社の『天下三分計画』、『武将乱舞』は歴史系三国志のアンソロジーでしたが、こちらは
   歴史系三国志の他、蒼天航路や無双系の作品まで幅広く収録されています。

   さらに決定的な違いは、この本がボーイズラブ(以下、BL)だという事です。
   苦手な方は注意しなければなりません。カバーにはっきり、BLである事を示すマークがついて
   ますので、店頭などで注意すれば分かるかと思いますが…私はネットで購入し、BLと知らずに
   中身を読んで、かなりショックを受けてしまいました(汗)私自身はBLが苦手なもので…。

   ただ、BLのはっきりとした描写があるのは後半の2〜3作ほどで、他の作品は殆どノーマルか、
   ギャグとして読めるものばかりなので、読む時に気をつければ大丈夫…かも?
   収録数も多く、作品の質も高いかと思います。個人的には、蒼天のパロディーと、袁紹と愉快な
   仲間達、呂布伝説の4コマ、魏延主役の作品が好きですね。BLだからと見もせず遠ざけるのは
   勿体ないかもしれません。とはいえ、描写がある物はとことん…なので、苦手な方は避けるのが
   無難かとも思いますし、難しいところです^^;


『ランペイジ』  514円+税 (作者:吉永裕介 出版:講談社)


『三国志アンソロジー 武将乱舞』 876円+税 (作者:多数 出版:双葉社)

 …歴史としての三国志を題材にしたアンソロジーコミックです。
   執筆している方は全部で11人で、漫画は蜀がメインの作品が多く、魏がメインの作品と、
   陳宮さんが主役の作品がそれぞれ一つ、その他四コマや、イラストを交えて三国志について
   語ったイラストエッセイも収録されています。冒頭にはカラーイラストのピンナップも付いてました。
   全体的に一作品の頁数が多く、その分、作品の密度が濃いように思えます。

   特に好きな作品は、秋乃茉莉さん作『斗宿の夢』…こちらの作品では劉禅を、武芸にも
   学問にも優れた大器であるけれど、争いを好まず穏やかな暮らしを望むがゆえ、戦もしない
   暗愚皇帝と見なされてしまった人物として描かれています。駄目君主のイメージが強い劉禅も
   見方を変えれば、悲しみを負った姿が見えてくる…様々な角度から見れば、人物像も変わって
   見える。そんな歴史の奥深さを改めて感じる作品です。平和や穏やかさを望むことすら、乱世
   の君主としては愚かな事とされてしまうのかもと思うと、劉禅さんが不憫でしょうがありません(汗)
   ただ、年老いた劉禅さんの陰りの無い笑顔には、自分の生き方に満足しているのね、良かった
   ねvと、ほのぼのとした読了感を味わうことが出来ました。

   また、水上シンさん作『龍の背で見る夢』も好きです。呂布の強さに龍の姿を見、魅せられて
   たとえ策を無視され続けても最期まで彼に従う陳宮さんの忠義…最強であることのみ望み、
   軍師や策を必要ないと言い切りつつも、ついて来てくれる陳宮さんへの信を、ちらっと見せる
   呂布…どちらも格好良く、惹かれる姿です。二人の末路が末路なので、切ないけれども、
   とても綺麗な作品です。


『STOP 劉備くん!』 続・続続と合わせて3巻 (作者:白井恵理子  出版:角川書店)

  …三国志のギャグ四コママンガです。出てくるキャラが、とにかく可愛いです♪
    楽しく笑いながら読んでいるうちに、三国志の人物や場面などに自然と馴染むことが
    出来ますので、三国志初心者の方にも特にお勧め出来ます。ネタも、どれも面白いもの
    ばかりですが、ただし登場人物や内容が演義準拠でやや極端な書かれ方をしているので
    人物に対する誤解が生じるかも知れません^^;

『GOGO玄徳くん!!』『続・GOGO玄徳くん!!』420円 (作者:白井恵理子  出版:潮出版社)

  …白井恵理子先生の三国志のギャグ四コマです。
    出版社は変わりましたが、絵柄もキャラも同じですので『STOP劉備くん!』シリーズの
    続きと思って、差し支えないと思います。ですからこの本だけでは、キャラクターの
    描かれ方や個性・ネタやオチでの使われ方などが、分かりにくいかもしれません。
    より楽しむために『STOP劉備くん!』から読まれることをお勧めします。
    何進・何皇后、鄒氏、まだ生きている時の孫策さんなど、新キャラも追加されていて
    前作からの読者にも嬉しい1冊です。

『続続・GOGO玄徳くん!!』420円 (作者:白井恵理子  出版:潮出版社)

   …白井先生の三国志ギャグ四コマシリーズの新刊です。
    あとがきにも書かれていますが、この巻には角川書店刊行の雑誌『小説 JUNE』掲載分
    の4コマが収録されているようです(『GOGO玄徳くん!!』『続・GOGO玄徳くん!!』
    は、潮出版社から刊行されていた月刊『コミック トムプラス』という雑誌(すでに休刊)に
    掲載された分が収録されてます)。

    以前は、『JUNE』掲載分は『STOP劉備くん!!』シリーズとして角川書店から発刊されて
    いましたが、潮出版社から『GOGO玄徳くん!!』シリーズを2冊出していたこともあり、
    その流れで角川掲載分も『玄徳くん!!』シリーズとして発刊したとの事情だそうです。
    出版社を越えての発刊って珍しいなぁとビックリしましたが…いえ、私は出版界についての
    知識は全然無いので良くあることなのかもしれませんけど^^;まあ読む側としては、何処の
    出版社からの発刊であれ、新作が読めれば、それで嬉しいんですけどねv

    ネタの面白さ、キャラの可愛さは変わらずクオリティーが高く、爆笑間違い無しです。
    夏侯淵さんの登場回数も適度に増え、彼もレギュラー確定の模様ですし、雑兵Aさんと
    周瑜さんの掛け合い漫才(?)も相変わらずですし、諸葛瑾さんも相変わらず
    よいキャラです♪あとがきには、4コマの単行本はこれが最後になるかも…と、
    気になることが書かれていますが、この巻で終了というのは悲しすぎます!
    是非とも、今後もこの作品は末永く続いて
欲しいです。


『その日仙境に龍はおちて』 (作者:白井恵理子  出版:角川書店)


黒の李氷シリーズ 全七巻 (作者:白井恵理子  出版:角川書店)

  …このシリーズは、全体的に三国志関連というわけではないのですが、シリーズ1巻目の
   『夏朝幻想』に収録されている『通魔鬼(トンモークイ)』には五斗米道の張魯が、2巻目
   『鬼神来迎』中の作品『随シ鏡』の中には周瑜と大喬・小喬が登場していますし、
   シリーズ3巻目の『徐夫人の匕首』中の作品『殺気神(シャーキシェン)』には劉備の
   ご先祖様・中山靖王劉勝が出て来る等、ところどころで三国時代を感じることが出来ます。
   このシリーズは、私が中国史に興味を持ったきっかけとなった作品で、絵が綺麗な上に
   中国史を大胆に題材としたストーリー展開は秀逸で、中国史が好きな方にも今まで
   興味が無かった方にも是非読んで頂きたい、思い出深い作品です。


『江東の暁』 全二巻 各390円+税  (作者:滝口琳々   出版:秋田書店)

  …呉の孫策と周瑜の少年時代を描いている漫画です。ストーリーはオリジナルですが、
   基本的な時代考証などはしっかり調べられている印象を受けました。
   孫策&周瑜コンビの他にも、オリジナル色の強い孫策の妹(孫権の姉)・蘭香という
   女の子もメインで活躍しますし、子供時代の孫権・孫翊、それに孫堅さんも武将としての
   勇ましい姿とともに父親としての優しい姿も併せて見せてくれています。
   以上のように三国志中の登場人物も、決して多いとは言えないものの、いくらか登場して
   いますし(何と袁術や、金髪美形の青年于吉まで出てきます!)、呉がメインの漫画と
   いうのも現時点では珍しいですので、孫策&周瑜ファンはもちろん、呉ファンには必見
   な作品だと思います。


『蒼天航路』1〜26巻(以下続刊) 各505円+税 (原案:李學仁 作者:王欣太 出版:講談社)

 …曹操が主人公の漫画です。一般的に悪人と思われがちな曹操の破格の英雄ぶりが
   大胆で斬新な解釈で描かれています。また、劉備・孫権など蜀・呉陣営・その他勢力
   の人々なども、それぞれ平等に偏りなく、正当に解釈されて描かれていますので
   どこの国のファンでも納得できるのではないでしょうか。まあ、一部例外はありますけれど(笑)
   ただし登場人物の個性が良くも悪くも強烈ですので、三国志をよく知らない人が読むと
   誤解を生じるかも知れません。絵にはスピード感と迫力があり、台詞回しも流暢で絶妙。
   深読みすればするほど味が出て、深読みしなくても面白く、現在出版されている
   三国志関連漫画の最高峰ではないかと思います。


『SWEET三国志』全5巻 (作者:片山まさゆき 出版:講談社)

 …演義をもとにしたと思われる、三国志のギャグ漫画です。絶版になってしまっているので、
   入手困難かもしれません。私は古本屋で4巻まで購入しました。全巻読んでいませんので、
   どこまでストーリーが続くのかは分かりませんが、ギャグとはいえ三国志のストーリー中で
   重要となる基本的な部分は殆ど押さえてあると思います。ストーリーの流れを変えない
   のはもちろん、ネタも面白く笑えます。さらに半魚人の魯粛・大学の角帽を被った周瑜・
  ボディービルダーの張飛・ブラックジャックそっくりの華佗等、登場人物も可愛く個性的で、
  しかも主要な人物は殆ど登場していますので、好きな人物がどのように描かれているのか

  楽しむことも出来ると思います。


『凌統物語 昨日の敵は今日も敵』 定価:2350円 (作者:満珠 菓子子 出版:技術評論社)


・真三国無双2&3関連4コマ集シリーズ 880円+税(作者:多数 出版:コーエー)


『三国志 天下三分計画』 850円+税(作者:多数 出版:ジャイブ)

 …歴史としての三国志を題材にした漫画・イラストが、多数収録されているアンソロジー本です。
   無双等のゲームではなく、歴史としての三国志を題材にしたアンソロジーコミックは商業誌では
   珍しいと思います。少なくとも私は、この本しか知りません^^;

   掲載作品数は多く、シリアスなストーリー物あり、ギャグあり、4コマあり。18人の作者さんが、
   それぞれの絵で、それぞれの三国志の世界や人物を描かれています。
   冒頭にはカラーイラストも載っていて、中身はかなり充実しています!感動するもの、
   ほのぼのとするもの、笑えるもの、泣けるもの…多様な三国志作品を一気に楽しめる、
   贅沢で嬉しい一冊です。

   どの作品も高質で、作者の皆さんは本当に三国志をお好きなんだなぁという印象を受けました。
   心から三国志が好きな方が、本当に描きたい人物や陣営・出来事の魅力を描き込んでいる
   からこそ、どの作品も人物も生き生きとして、読み手を惹きつける力があると思ったのです。
   無理矢理に登場人物や知識を詰め込んでもいない、本を売るために人気のある人物ばかりを
   無理に使ってるわけでもない、誰かを貶めて他を持ち上げているわけでもない…まさに、
   こんな三国志本が読みたかった!と、心から満足することができました。
   魏・呉・蜀や後漢・涼州など、どの陣営にも偏りがなく、三国志好きで漫画に抵抗が無い方に
   間違いなくお勧めの一冊ですv

   ただ、例えば誰と誰が主従だったとか、この人物はどんな人だったとか、どんな出来事が
   あったのか等の三国志の知識が全く無いと、全ての作品の内容を理解するのは難しいかも
   しれません。とはいえ、良く分からなかったとしても、こういう魅力ある人物達がいた、歴史が
   あったということは十分に表れている作品集だと思います。魅力を伝えるという点で、これから
   三国志を知りたいという方にもお勧めかもしれません。


 

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