孫権赤壁にて曹操を破る

ここは江東・・・若い頃から活躍していた孫策も今は病の床についていた・・・
「兄上・・・兄上」
孫権は孫策の横について看病していた・・・
しかし、一向に良くなる風もなくどんどん体は弱くなっていた
「ふふ・・・小覇王と呼ばれていた私も・・・病には勝てないようだな・・・」
孫策はもう立つ事もならず寝たきりだった・・・
「そんな事を言わずに!病は気からと言うではありませんか」
孫権以外にも回りに重臣が居たが皆泣いているばかりであった
「ゲホッ!・・・いいか孫権・・・私の後はお前が継ぐのだ」
孫策は震える手で孫権の手を握り後継ぎになるよう願い出た
「良いか・・・皆の意見をよく聞け・・・」
「あ・・・兄上!」
孫権が呼んだ時は既に孫策は息を引き取っており手を握っていた孫策の手にも力が入っていなかった
「あ・・・・・・・・兄上ーーーーーーーーーーー!!」
江東の小覇王と呼ばれていた孫策も病には勝てず、ここに息を引き取ったのであった・・・
「父上が基礎を造りその後を兄上が固くしたのだ・・・何としてもこの江東に大きな勢力を築いてやる」
孫権が後を継いだ時も孫堅から使えた古株の武将や孫策の時から仕えた猛将も居た・・・
孫権はその人材をいかし揚州に大きな勢力を築いた

そして・・・月日は流れた・・・

孫権は揚州、交州のほぼ全域を平定し荊州までにも手を伸ばすようになっていた
しかし、その孫権にも驚異的な勢いで進撃をし続ける曹操が怖かった
かの袁紹をも破り、帝を擁している上に劉表まで打ち破った・・・
その破竹の勢いの前に大きな戦力を保っている孫権も恐怖感を覚えていた・・・
孫権の軍は精鋭ばかりだか数が少なかった・・・
曹操の軍はまだ腹心が少なく袁紹の兵士や劉表の兵士も懐いていない為内側は弱い
だが曹操にも優秀な軍師や猛将などを多く抱えていた
「あの曹操を破るには如何したらいいか?周喩」
この日孫権は曹操軍が水練を始めた事を周喩に相談しに行っていた
「今や大軍を抱えている曹操ですが我々の敵ではありません、今こそ攻撃をしかけるべきです」
周喩は開戦論者だった・・・孫権は他のものは降伏論を唱えているのでこういう事は周喩に相談していた
かつて孫堅から仕えていた武将さえも降伏論を唱える始末・・・何としても曹操に対抗する策がないか
周喩に聞いた
「今、この呉は二つに割れております・・・内通者が出ないようにまずは中を固める事でしょうな」
周喩は的確に孫権の思いをついてきた
「やはりそうか、私も実はそう思っていたよ」
孫権はその後を如何するか周喩に聞くと周喩は少し考えた末もう一つの策を考えた
「劉備に曹操軍がどのようなものか聞いてみてはどうでしょうか?」
「おぉ、しかし負けて逃げ回っている劉備に戦況を聞くのはどうかと思うが・・・」
孫権は劉備の弱さを知っていたが周喩に説得され魯粛にどの様か聞く様伝え、劉備の元に向かわせた
「やはり皆の意見を大切にせねば・・・降伏論の者立ちの意見も後日魯粛が帰ってきた頃聞いてみるか・・・」
孫権は周喩に今から水軍の訓練をするよう伝えた
「ふぅー・・・相手は強大な軍事力をもつ曹操か・・・これは皆の動きによって戦況は変わるな・・・」
・・・孫権は疲れていたのか自室の椅子に座ったまま寝てしまった

そこに呂蒙が太史慈と共に孫権の部屋を訪れた・・・だが孫権が寝ているのに気付き二人は改めて
まいると衛兵に伝えるよう頼んだ
孫権が起きたのは董襲が来た時だった・・・最近は対曹操戦の準備でよく人が部屋を訪れてきた
「ううむ・・・いかん寝てしまっていた様じゃ・・・」
董襲は衛兵に武器を渡し部屋に入っていった
「お休み中失礼致しました・・・」
孫権は立って服を整え董襲に座るよう薦めた
しかし董襲はその薦めを断りまわりに聞こえないよう耳打ちした
「魯粛殿が帰ってきております・・・そこで孔明殿を連れてきたようです」
「おぉ・・・そうか・・・では今日は疲れているだろうから明日話を聞くと伝えい」
孫権は魯粛を迎えに行った・・・
「魯粛よ大儀であった」
「いえいえ・・・私のような者に迎えまで寄越してくれるとは・・・」
魯粛はゆっくりと船から下り孫権の連れて来た馬に乗った
「ところで・・・孔明は?」
孫権は船内に誰もいない事を確認してから魯粛に質問した
「孔明殿には先に行くよう伝えたんです・・・私は色々とここでやる事がありましたから」
「そうか、今日はお主の為に宴会を開こうと思うが・・・いかがかな?」
魯粛は宴会の誘いを丁重に断り、孫権と途中で別れ自分の家に戻って行った・・・
「さて・・・私もそろそろ戻るかな?」
孫権も自室へと戻った・・・そこには呂蒙の姿があった
「呂蒙ではないかどうした?」
呂蒙は後ろから声を掛けられた為に少し驚いたが直ぐに立ちあがり孫権に降伏論を唱える者の事を話した
「今、降伏論を唱える者は将軍より文官などに多いようです・・・」
孫権は呂蒙に座るよう言い自分もまた座り酒を出すように言った
「そうか・・・してお主は?」
孫権が質問を出すと呂蒙の後ろから太史慈が現れた
「我々は共に孫権様の為に命をささげる覚悟があります」
二人はどうやら一致団結し孫権の為に尽くすようだ・・・
「そなた達のような者が居れば曹操も敵ではないな・・・」
孫権は少し含み笑いをして太史慈にも座るように言った
太史慈は懐から紙を出すと孫権に見せた
「今、曹操軍の水軍指揮者はあの蔡瑁です・・・これは私達にとって強敵です」
「この紙は何処で取ってきたのだ?」
「私が密偵を放ち探らせてきました」
呂蒙が横から返事をする
その時孫権は太史慈からその紙を受け取り密偵からの話を色々と聞いた
「曹操軍は劉備軍を放っておき、今は我々を倒そうと考えております」
呂蒙が曹操軍の方針を進言した
「ですから今は荊州を諦め対曹操戦に備えるべきかと・・・」
「うむ・・・そうか呂蒙の言も最もだが・・・」
そこに太史慈も呂蒙同様荊州を諦めるように言った
「もし曹操に負けたら荊州どころか交州や揚州まで危なくなります」
「そうです、それに曹操軍に負けてしまったら降伏論の者が増えますし、相手側に寝返る者も
 出てきてしまいます」
孫権は少し考えながら酒を飲むと二人の意見を採用した
「うむ、まずは荊州より曹操だな・・・負けてしまってはどうしようもない」
二人は孫権に進言した後、もう遅いと言い部屋を後にした
「・・・このような場合は如何するべきか・・・」

次の日孫権は魯粛に孔明を呼んでくるよう伝えた
「孫権様、孔明殿がおいでになりました」
「そうか、今直ぐここにおとうしいたせ」
孫権と重臣の前に魯粛に連れられ孔明が入ってきた
「おぉ!そなたが孔明殿か」
「孫権殿に会えて光栄でございます」
孫権は孔明を自分の隣りの席に招き曹操軍について色々と聞いた
「今曹操軍は北方を平定しその軍事力は大きいが・・・どの程度のものなのか?」
「曹操軍は今や70万と言われておりますが・・・それは曹操軍の広告、実際には50万程度です」
孔明が笑いながら答えた
「50万あるのなら侮れぬな・・・」
「いえいえ、曹操軍は北方人が多い為海戦に慣れておりませんしまともに戦えるのは
 劉表の軍ぐらいでしょう」
再び孔明は笑いながら答えた
「ふむぅ・・・そうか、この戦い私達は勝てるのかな?」
「勝てますとも、我君も勝てるからこそ逃げて降伏せずに戦っているのです」
孔明はまだ笑いながら答えた
孫権はその態度に自分が馬鹿にされているような気分になったのでその場から孔明を押し出してしまった
「殿、孔明殿を追い出すとは・・・如何なされました」
魯粛が孔明が出ていったのを見て駆け込んで来た
「いや・・・奴が私を馬鹿にするような態度を取っていたのでな・・・」
魯粛は孔明の所に向かった
「さて・・・どうしたものか」
孫権が皆と意見を交わしているとそこに魯粛が再び入ってきた
「殿、孔明殿は解りきった事ばかり聞くので笑ったのだよと言っておりました」
「むむ・・・」
「ですから孔明にどうやれば勝てるとお聞きになれば宜しいかと」
そこに孔明が再びやって来た
「おぉ!孔明殿、先ほどはすまなかった」
孫権はまた自分の横に孔明を座らせた
そして魯粛も席につき対曹操軍の会議が実行された
「まずは・・・如何すれば曹操軍に勝てるのかな?孔明君」
「まず、間者を放ち・・・相手の船体を全て鎖で繋ぎ・・・火で攻めてはどうかな?」
そこに周喩が入ってきた・・・
「殿、水軍の訓練が終わりました」
周喩も孫権の横の席についた
「周喩からも皆を説得してくれ」
周喩は席を立った
「曹操軍は北方人多く、海戦にも不慣れで袁紹などの元部下もいて中はガタガタです・・・その曹操軍!
 この私が破って見せましょう」
孫権は周喩に剣と印を渡し、対曹操軍の事は周喩に任せた
「いいか周喩・・・呉の未来は全て帥にかかっているのだぞ」
そして対曹操軍の会議は終わった・・・

次の日、曹操軍が近くに布陣を開始したとの知らせが入った
だいたい3〜4日で布陣は完了するらしい
「周喩、3.4日ごには軍の準備は間に合うか?」
「ははっ!明日までには準備ができます」
「そうか、頼りにして居るぞ」
・・・孫権はその日から毎日周喩に軍の情報を聞いていた

そして決戦当日・・・
「周喩よ、私も今日は出るぞ」
孫権が馬に乗っている周喩に駆け寄った
「そうですか、それならば士気も上がりましょう」
こうして孫権は赤壁へと出陣した
「しかし・・・この季節に吹く風邪は我方には不利ですぞ」
周喩が孔明に問い掛ける、しかし孔明は空を見上げ必ず有利な風向きになると言った
「周喩、曹操軍が動き出したようだぞ」
「今頃黄蓋殿が火計を開始するころですな・・・出撃だ!!」
周喩は自ら戦闘にたち曹操軍と戦闘を開始した
孫権は後ろで援護をする側に回った
「よし!我軍は左右に展開!後ろから弓を射て援護するのだ」
孫権が指示を出す・・・その時陣屋の右手から火の手が上がった
「しまった!伏兵か?!」
孫権が気付いた時はもう右翼は大混乱に陥り完全に態勢は崩れていた
「急いで敵を殲滅しろ!」
そこに右翼後方に居た程普がその騒ぎに気付き直ぐに駆け付け伏兵をすべて倒した
「ふぅ・・・」
孫権が一息ついているとそこに周喩からの使者がやって来た
周喩の使者を陣営まで招いた孫権は伝言を聞いた
「周公瑾殿はそろそろ火計を仕掛ける為孫権殿の軍を前線付近まで動かしてくれとの事です」
孫権は外の馬に乗り親衛隊数名を連れて前線付近まで動いた
「孫権様、全ての部隊、兵士が前線付近まで移動しました」
後は黄蓋の火計を待つ事となった孫権はまた前線の援護にむかった
その時曹操陣営の方で火の手が上がった
「よし!前線に我々も行くぞ!突撃だ!!」
孫権は自分の軍全てを曹操軍に突撃を開始した
長江に浮かぶ曹操の軍船は鎖で繋がれていた為簡単に火が燃え移り始めた
曹操軍は完全に統制が取れなくなった・・・
「周喩よ、曹操は何処だ」
「多分もっと向こう側に居ると思います」
周喩は自分の剣で曹操軍の陣深くの方角を指した
「今呂蒙殿が追っておりますが・・・曹丕の軍が援軍で殿をしております」
「そうか・・・今回はまだ死なぬか・・・」
孫権は自分の軍の指揮を周喩に任せ数名の兵士とともに領地に帰っていった

孫権は次の日の夜・・・戦闘に参加した武将全てを集め宴会を開いた
「あの大軍に勝てたのも皆の働きのおかげだ・・・今日は皆にお礼をしたく宴会を開いた・・・皆楽しんでくれ」
ワーーーーワーーー!!
孫権は周喩に近寄り酒を渡した
「今回の戦いではそなたの功績は最も大きい・・・よくやってくれた」
「いえいえ・・・これも皆がよく動いてくれたおかげです」
「倒したとしてもまた曹操軍が来るかもしれん・・・その時はお主を頼りにして居るぞ」
「ははっ!しかし・・・劉備の軍は荊州に居座りました」
周喩は酒を一気にぐいっと飲み干した
「今や荊州南部にも軍を進めている劉備軍をなんとか荊州から追い出さねば・・・」
「ああ・・・しかし向こうにも孔明がおるしのぅ・・・」
孫権は孔明の存在を非常に厄介と見ていた・・・それは周喩も同じだった
「これからは荊州の北部を取り蜀を制圧し・・・後には劉備、そして曹操ですな・・」
「あぁ、お主の働き・・・期待しておるぞ」



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