特別編 孫権とビックリ人間達 |
管理人「今回は、何だかいつもと雰囲気が違いますね〜」 孫権 「今回は俺と関わったことのある、不思議な人間達を取り上げるんだろ? ビックリ人間…というか、仙人のような不思議な術を使う者達が出てくるから、場の雰囲気 もミステリアスにしてみたんだ。どうだ?」 管理人「私と孫権さんが話を進めていく限り、ミステリアスな雰囲気になんて、絶対ならないと 思いますが…」 孫権 「つべこべ言わずに、ついて来い!」 管理人「ああ、待ってくださいよ〜」 ------------------------------------------------------------------------------- 管理人「はあはあ…随分遠くまで来ましたね…」 孫権 「あれ、おかしいな。一人目のビックリ人間を、ここで待たせておいたのだが」 管理人「…でも、誰もいませんよ?ここには、池があるだけですし…」
管理人 「うわっ!( ̄□ ̄; いっ、池の中から人が!?」 孫権 「何だ、そこに居たのか」 謎の人物「はい、殿。ここで待っているようにとのご命令でしたが、待ちくたびれてしまいましてな… そこで、いつものように池の中で眠っていたのでございますよ」 管理人「えっ?ではこの人が、孫権さんが待たせていたという、一人目のビックリ人間なんですか?」 孫権 「そうだ。この者は葛仙公といってな…。正史の註に引用されてる『抱朴子』という書物に、 出てくる人物だ」 管理人「そ、そうなのですか〜。ところで葛仙公さん、『いつものように池の中で眠ってた』と 言われましたが、それは一体どういうことですか?いつも池の中で眠っているのですか?」 葛仙公「うむ、わしは酒を飲んで酔うと、いつも他人の家の門前にある池の中で眠って、日暮れ頃に なってやっと出てくる、なんてことをしているんじゃよ♪」 管理人「そうなのですか(^^;)でも、どうしてわざわざ池の中で眠るんですか?池の中って あまり寝心地が良さそうじゃないのに…」 孫権 「…お前な…まず『葛仙公が池の中で寝ることができる』って点に驚くべきなんじゃないか? 池の寝心地を気にする前に…」 管理人「あっ、そういえばそうですね!水の中でも生きられるなんて、葛仙公さん、凄いです!!」 孫権 「やっと、そこに気がついたか…やれやれ…」 葛仙公「いやいや、もっと凄い話もあるのですぞ♪あるとき、わしが殿のおともをして洌州(烈洲)に 行った時のこと…」 孫権 「そういえば、そんなことも有ったな。確か洌州からの帰途、暴風に遭い、百官達が乗った 船が大部分沈没してしまって…葛仙公の乗った船も水に沈んでしまったんだよな」 管理人「船の事故ですか!船が沈んでしまうなんて、本当に怖いです…って、葛仙公さんも、沈んで しまったのですか?!」 孫権 「うむ、それで俺はひどく悲しんでな…次の日、人々を動員し、大きな鉤を水中におろして 葛仙公が乗っていた船を捜させたんだ」 葛仙公「おお…わしのために、大掛かりな捜索をして下さっていたのですな〜♪」 管理人「それで、葛仙公さんはどうなったのですか?ここにいらっしゃるということは、助かったという ことですよね?…そっ、それとも助からなくて…こっ、ここにいるのは幽霊だとか!?」 葛仙公「これこれ、勝手に人を幽霊にするでない(汗)」 管理人「えっ、それじゃあ、葛仙公さんは助かったのですか?」 孫権 「う〜む、助かったというか…俺は小高い所から捜索の様子を窺っていたのだが、大分 時間が経った頃、葛仙公が水の上を歩いて来るのが見えたのだ」 管理人「水の上を!それはまた、凄いことをされますね〜葛仙公さんは…」 孫権 「ああ、凄いだろ?しかも葛仙公の衣服や履物は、水にぬれていなかった上に、葛仙公は 酒気まで帯びていたんだ…」 管理人「ぬれていない上に酔っ払っていたんですか!船と一緒に沈んでしまったはずなのに? う〜ん、不思議です…」 葛仙公「わしは殿の御前に出ると、こう説明したんじゃ『臣(わたくし)は昨日おともをしておりました のですが、伍子胥から招きをうけ、そちらにまいって酒を飲んでまいりました。急なこと で取るものも取りあえず、ご挨拶もせぬまま、あちらに参ったのでございます』とな♪」 孫権 「伍子胥とは、春秋時代の呉に仕えた名臣だ。呉王・闔閭とその子の夫差に仕えたが 呉王・夫差と意見が対立した上、讒言され、ついに夫差から自殺を命じられた。 自殺する時に『私の墓に梓を植えよ。それは呉王(夫差)の棺桶にするためだ。私の目を えぐりだして呉都の東門の上にかけよ。越が呉を滅ぼすのを見てやろう』と言い残して 自刎したのだが、その話を聞いた夫差は大いに怒り、伍子胥の遺体を馬の革で作った袋に くるんで、川に投げ込んだ。それを哀れに思った呉の人々によって、伍子胥は祀られ 祠が建てられた…そうだ。伍子胥は、後の世には水神として祀られたようだな」 管理人「水神…なるほど。葛仙公さんは川の中で、水神の伍子胥さんに招かれてお酒を飲んでいた ということになるのですね。池の中で眠ったりもするし…水と縁のある人ですねぇ」 孫権 「確かにそうだな。…そうそう、池の中で眠る等は、あくまで葛仙公だから出来ることであって 大変危険な行為だから、くれぐれも真似しないようにな!」 管理人「う〜ん、真似しようとする人はいるのでしょうか…」 孫権 「よしっ、そろそろ次のビックリ人間のところに向かうぞ!」 管理人「えっ、もうですか?ああっ、待ってください〜」 葛仙公「さて…わしは、池の中でもう一眠りするかの…」 --------------------------------------------------------------------------------- 管理人「孫権さん、次のビックリ人間さんはどんな人ですか?」 孫権 「ああ、ここにいる姚光という者だ。この者は火術をマスターしていてな…」 管理人「おお、火術ですか!」 姚光 「そうです。その私の力を、殿が試そうとされたこともございましたよ」 孫権 「あっ、いや、待て。その話は…」 管理人「どうしたんですか?孫権さん。何か、話されると困ることでも?」 孫権 「いや、そういうわけではないのだが…」 姚光 「殿は荻を数千束(たば)積み上げ、その上に私を坐らせると、さらに数千束の荻で私を すっぽりと包み込み…」 管理人「ふむふむ、それで?」 姚光 「風が激しく吹いた時に、その荻に火をかけられたのです」 管理人「ええっ、ひどい!孫権さん、ひどいですよ!そんなことしたら、姚光さんが焼け死んでしまう じゃないですか!」 孫権 「落ちつけ!…姚光は無事だったのだ。荻が燃え尽き、姚光も灰になってしまったであろうと 思われたが、姚光は灰の中に端座していて、衣を振って立ち上がったのだからな」 管理人「姚光さんは無事だったのですね!ああ、良かった(^^;)…でも不思議な話ですよね。 火術を習得しているから、火に包まれても焼け死ぬことが無かったのでしょうか」 孫権 「灰の中から立ち上がった姚光の手には一巻の書物が握られていたのだが…」 姚光 「殿はその書をご覧になられましたね」 管理人「何が書いてあったのですか?孫権さん?」 孫権 「それが…見てみたものの、理解することはできなかったんだ」 管理人「そうなのですか〜それは残念…。それにしても、いくら姚光さんの力を試すためとはいえ 火あぶりにするなんて、やり過ぎだと思いますよ!反省して下さいね、孫権さん」 孫権 「そうだな…。全く、だからこの話をするのは嫌だったんだ」 姚光 「私だからこそ助かったのであって、普通は助かりませんから。くれぐれも真似しないように してくださいね」 管理人「真似しませんよ…そんな、怖いこと」 --------------------------------------------------------------------------------- 管理人「今回取り上げる、最後のビックリ人間さんは…仙人の介象(字・元則)さんですね」 孫権 「ああ、そうだ。介象のことは、正史の註に引かれている葛洪の『神仙伝』に書かれているぞ」 管理人「会稽郡の人で、種々の方術に通じていた…と書かれているみたいですね」 介象 「殿は私を武昌に招き寄せられて、鄭重に遇して下さった。私のことを介君と尊称して 下さったり、私のために屋敷を建てて下さったり、自らが用いられていた御帳(みす)を 下賜して下さったり…たびたびの賜わり物は、合わせて千金という額にもなったほどじゃ」 管理人「屋敷まで建てるなんて…至れり尽せりですね!孫権さんがいかに、介象さんの才能(?)を かっていたかが分かります。…ちょっと、やり過ぎな気がしないでもないですけれど(^^;) それで、それほど孫権さんに厚遇された介象さんの使う術って、どんな術だったんですか?」 孫権 「そうだな、例えば…俺は介象から隠形の術を学んで、試しに姿を隠したまま後宮に戻ったり 殿門を出たりしたんだが、誰も俺の姿を見ることのできる者はいなかったぞ」 管理人「孫権さんも術を使ったことがあるのですか!確かに姿を隠す術というのは、敵から身を 守ったり、偵察する時にも便利そうですが…くれぐれも、悪用はしないで下さいね」 孫権 「するわけないだろ!俺を何だと思っているんだ、全く!」 介象 「殿が私に、変化の術を使うようにとお命じになられたこともありましたな」 孫権 「ああ、そんなこともあったな。その時には、介象が瓜や野菜や種々の果物などを植えると またたく間に成長して食べられるようになったんだ」 管理人「おお、あっという間に植物を成長させたのですか!しかも出来た作物はちゃんと食べられる のですね♪食料不足や兵糧不足も解決できそうですし、便利で実用的です!お腹がすいた 時に、果物を育ててもらったりもできそうですし♪」 孫権 「野菜は育ててもらわないのか?好き嫌いしては、いけないぞ」 介象 「それから、こんなこともございましたな…。ある時、殿が臣下の方々と、魚のさしみは 何が一番美味であるかを論じ合っておられました時、私は『鯔魚(ぼら)が最上でございます』 と申し上げ…」 孫権 「俺はそれに対して、こう答えたのだ。『この近くの魚だけを論じておるのだ。お前が言う のは海で取れる魚であって、ここでは手に入るまい』とな」 管理人「確かに、いくら美味しくても手に入らないのであれば、議論の対象外ですよね」 介象 「そこで私は『手に入れることができます』と、お答え申し上げたのじゃ」 管理人「そんなこと言っちゃって大丈夫なのですか?武昌は海から、物凄く遠く離れていますけど…」 介象 「私は宮殿の前庭の真ん中に四角い穴を掘らせ、水を汲んでそれをいっぱいにさせると、 さらに釣り針を用意して頂いた。そして私は穴のそばに行き、釣り針に餌をつけて 穴に釣り糸を垂れた…」 管理人「庭に掘った穴からなんて、何も釣れるわけないじゃないですか…」 孫権 「…それが、釣れたんだ。釣り糸を垂れてまもなく、鯔魚が釣り上げられた。介象の言った とおりにな」 管理人「釣れたのですか!またまた不思議な術をつかって、鯔魚を釣り上げたのですね!」 孫権 「俺は、驚くとともに喜んで『食べられるだろうか?』と介象に尋ねたんだ」 管理人「確かに、釣り上げたからには食べたいですよね。美味しいお刺身♪」 介象 「私は『わざわざ陛下のために取り寄せて、生膾(さしみ)にしていただこうとしたのでござい ますから、どうして食べられぬような物を取り寄せたり致しましょう』とお答えすると、 膳部に命じて、さしみに作らせました」 孫権 「そこで俺はさらに、こう言ったんだ『聞けば蜀より使者が来た際、蜀の薑(みょうが)が 手に入って、それをあえものにしたところ、とても美味かったとのことだ。その時、 この魚がなかったことが残念だ』とな」 管理人「つまり鯔魚のお刺身と一緒に、蜀の薑も食べられたら良かったのに…ということですね。 なかなか食にこだわりますね♪さすが、呉の主君!」 介象 「私はこう申し上げたのじゃ『蜀の薑は手に入れにくい物ではございません。どうか使者を 立てられ、その者に薑の代金をお与え下さいますように』と」 孫権 「そこで俺は、側近の一人をその使者に指名し、五十銭をその者に託した。すると介象は 符(おふだ)を一枚書くと、それを青竹の杖の中にしこみ、使者の役目の者に 『目を閉じてその杖にまたがり、杖が止ったなら、その場所で薑を買い、買い終わった後 また目を閉じるように』と命じたのだ」 介象 「使者は、わしの言葉どおりに杖にまたがると、間もなく杖がとまった。すると、もうそこは 蜀の成都であったのじゃ。だが使者はそこがどこだか分からず、人に尋ねたところ 蜀の市場の中だと分かったので、そこで薑を買い入れた…」 孫権 「この当時、張温が使者として蜀に赴いていたのだが、張温は市場の中で、薑買いの使者 に出会ってびっくりした。そして、その場で手紙を書いて、家に持って行ってくれるように ことづけたんだ」 介象 「薑を買い終わった使者は、張温の手紙を手に持ち、薑を背負って、再び杖にまたがって 目を閉じた。すると、あっという間に呉に帰り着き、膳部では生膾がちょうど出来あがる頃で あった…と、まあ、こんなことも有ったのお…」 管理人「ひええっ、一瞬にして遠く離れた蜀まで行くことが出来るなんて…それに、庭から海の魚を 釣ったり…さすがは仙人!まさに、ビックリ人間にふさわしいです!」 孫権 「これも介象だからこそ、出来ることだよな。だから、くれぐれも真似しないようにな!」 管理人「真似しませんよ…。庭の穴から魚を釣ろうとしたり、杖にまたがって瞬間移動しようとしたり なんて、恥ずかしいじゃないですか…」 --------------------------------------------------------------------------------- 孫権 「今回はビックリ人間三人を、紹介して来たわけだが…どうだった?」 管理人「そうですね〜。あんな術を使える、あんな人達が本当に実在していたかどうかは 分かりませんが(というか、絶対実在していなかったように思えるんですけど…)。でも こんなビックリ人間さん達と孫権さんとの関わりが、エピソードとして残っていることが 面白かったです♪孫権さんの、一味違った一面が見られたような気がしました」 孫権 「まっ、こういう不思議な話も残っているってことだけでも、興味深いだろ?」 管理人「そうですね〜それにしても、介象さんにはコックさんになってもらいたいです! 術を使って、あっちこっちから珍しい食材を探して来てもらったり、あっという間に 食材を育ててもらって、食べさせてもらうことができますから…」 孫権 「お前は、そんなことしか考えられないのか!?全く、もう…」 |
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