丁霧季 参上

              *丁霧季は「女」です、「男」ではありません


「丁よ・・・本当にやめてしまうのか?」
孫権に呼び出された丁霧季は都督退職を願い出ていた
「はい・・・あの時の戦いの傷がまだ治らないので暫らく休養したいと思っております」
「では、傷が治ったら戻ってくるのだな?」
孫権の質問に丁霧季は少々戸惑いを見せたが一言ハイと言ってその部屋から出ていった


・・・あれから何ヶ月たっただろうか?
傷も完治して、再び孫権の元へ向かっている丁霧季はふと思った
傷とは、蜀軍と戦っているときに負ったものだった
「・・・懐かしいなぁ・・・何も変わっていない」
丁霧季は外から城を眺めてつぶやいた
「ん?丁霧季か?」
後ろから声をかけてきたのは陸遜だった
「伯言、久しぶりですね」
「ここで何をしておるのだ?」
「いえ・・・足の傷も完治しましたから、今から仲謀様の元へ行こうと思いましてね」
「なら一緒に行きましょう、私も仲謀様のところに用がありますから」
「では・・・っとと・・・」
「大丈夫ですか?行きますよ」
二人は孫権の元へと向かった

二人は孫権のいる玉座へと招かれた
「仲謀様、お久しぶりです」
「おお!丁か!!足はもう大丈夫なのか?!」
孫権は座っていた椅子から立ちあがると丁霧季に駆け寄った
「はい、長い休養を頂きましたから」
「仲謀様、再会を喜んでいる所済みませんが・・・」
陸遜が会話に入ってきた
「最近、蜀が兵を集め始めました」
「また攻め込んでくるのか?」
「いえ、孔明が北伐のためだと思いますが・・・魏が孔明の北伐を防ぎに行く時が絶好の機会です!」
「うむ、丁霧季も復帰したことだし・・・魏へ攻め込むぞ!急いで兵を集めよ!!」
孫権はすぐさま兵を集めて目標を「江夏」に定め攻め込んだ


呉軍はその数20万まで膨れ上がり一気に江夏に攻め込んだ
「相手はまだ蜀軍のほうにしか備えていない、今こそ攻撃の機会だ!」
呉軍は迎撃してきた魏軍を散々に蹴散らし一気に江夏を占拠した
「丁霧季よ、今後どうすればいいのか?」
「まずは襄陽に攻め込み敵の南下本拠地を奪うべきです」
「しかし、まだ荊州北部は魏にしたがうものが多いぞ」
「その点はお任せくだされ」
丁霧季は董襲とリョウ統を呼んできた
「この二人を荊州北部の西側を攻略させ、我々は襄陽に向かいます」 「徐州、下ヒの魏軍はどうする」
「そこは今伯言が防衛にあたっています」
「そうか、では軍の指揮権はお前に任せるぞ」
「ははっ!」
「私は一旦呉都へ帰る、後は全て任せるぞ」
孫権は20数万の兵を丁霧季に任せ呉へ向かった
丁霧季は董襲とリョウ統に各3万の兵を持たせ自分は15万の兵を率いて襄陽に向かった

「丁将軍、司馬懿は10万の兵を率いて迎撃してきました」
「何!?司馬懿・・・孔明のほうに向かったのでは・・・」
丁霧季は司馬懿の軍が来るとは思っていなかったため参謀などは連れてきていなかった
そのため、司馬懿の謀略に陥るのを恐れ一旦江夏へ帰還した
「う〜ん・・・司馬懿が来るとは」
「敵は追撃してきています、どうしましょう?」
「いまここで引くわけには行かぬ、迎撃するぞ!」
結局、丁霧季は司馬懿と対決することとなった
「よいか!敵は必ず何か作を仕掛けてくるはず!敵の誘いに乗ってはいかんぞ!」
敵を迎え撃つため丁霧季は東にある山に3万の兵をおき農村付近に2万、そして野が広がっているところに残りの10万を置いた
「両翼前進!隊形を崩さずに前へ進め!退いてはならぬ!!」
「丁将軍、董襲の部隊が今こちらに向かってきております」
「なぜだ?もう敵は倒したのか?」
「はっ!どうやらそのようでリョウ統将軍は民を落ち着かせるため残っております」
そこに左翼から報が入った
「敵右翼壊滅、敵は左翼を残して退却を開始したようです」
「追ってはならぬ!山の上の部隊を敵の本陣を奇襲させ、農村に布陣している部隊を司馬懿の足止めにつかえ!」
丁霧季の読みは的中し司馬懿は退路を断たれた
退路が断たれると魏軍は浮き足立ち完全に混乱に陥った
司馬懿は何とか襄陽に逃げ込もうとしたがそこには董襲の部隊がすでに入城しており散々に追い散らされた
新野へと向かっていた司馬懿を丁霧季の部隊が追撃した
こうなると司馬懿もお手上げのようで宛へと退却した
新野を守っていた曹真は篭城した
「ううむ・・・曹真め」
「丁将軍、今宛から魏軍が25万ほどの大群を率いて南下してきているとのことです!」
「合流されるとまずい、今すぐ新野城に総攻撃をかけよ!!」
8方向から呉軍に攻められた魏軍は士気も上がらず、呉に投降する者さえ出てきた
そしてたったの2日で新野城は陥落、宛から来た魏軍も新野が落ちたことを知るとすぐさま退却した
「曹真は見つかったか?!」
「いえ、まだ見つかりません」
「何としても見つけるのだ!!」
新野城に残っている魏軍を丁霧季は倒しに城へ入ったが曹真の姿が見当たらなかった
(曹真・・・どこに逃げたのだ!)
丁霧季が馬を飛ばして場内を探したが見つからなかった
「ふぅ・・・取り逃がしたか」
丁霧季が剣を鞘に入れると柱の影から曹真が飛び出してきて丁霧季に飛びつき馬から叩き落した
「い・・・つ・・・ぅ・・・」
「くっくっくっ・・・ついに年貢の納め時だな」
丁霧季は馬から落ちたとき頭を打ったのと、曹真が乗っているせいでうまく動けなかった
「う・・・・ん・・・」
「死ねぇ!!」
曹真が剣を持った右手を大きく上に上げたとたんその右手に矢が刺さった
「ぐ・・・っつ・・・誰だ!」
「動くな!!」
どうやら董襲が弓兵を連れてきたようだ
「ふふふ・・・動くなよ・・・こいつがどうなってもいいのか?」
曹真は倒れている丁霧季の両手首を左手で掴み盾にした
「あ・・つぅ・・・」
「さぁ、これでも射てるかな?」
「く・・・」
曹真は丁霧季の乗っていた馬に乗りその場から立ち去ろうとした
「ふふふ・・・じゃあな!!」
「く・・・し・・・い・・くる・・し・・・い」
「うるさい!」
曹真は丁霧季の首をたたいた
その衝撃で丁霧季は気を失ったようだ
「ははははは!!」
曹真がそこから立ち去ろうとしたとき屋根の上から陸遜が飛び降りて曹真の首を一瞬にして落とした
「曹子丹!討ち取ったり!」
「丁霧季殿!」
董襲と陸遜が駆け寄ったが丁霧季の返事はなかった
「・・・いや、まだ息がある・・・気を失ってるだけのようだ」
「おぉ・・・良かった!!」


「う・・・ん・・・ここ・・は?」
丁霧季が起きると目の前には陸遜、そこは襄陽城の内部だった
「起きたか、気分はどうだ?」
「ん・・・大丈夫」
「まったく・・・女一人で戦場をうろつくなよ!いくら昔から武芸を習っていたとはいえ・・・」
「ところで・・・徐州と下ヒは?それと魏軍は・・・っつ・・・」
丁霧季は起きあがろうとしたが体中が痛くて起きあがれなかった
「おい、大丈夫か?頭を打ってるんだから安静にしてろ」
「それで・・・魏は?」
「魏はほぼ滅んだよ、残りは許都や洛陽などに立てこもって抵抗を続けているさ」
「え!!」
「だって丁は2週間も眠りつづけていたんだぞ」
「2・・・週間?」
「あぁ、これ以上起きないと死に関わるといわれたよ」
そこに孫権が来た
丁霧季を見るなり駆け寄ってきた
「丁!大丈夫か!?お前は毎回毎回・・・心配かけやがって」
「えぇ、もう大丈夫です」
「ところで仲謀様、前線から出てきていいのですか?」
「あぁ!それだそれ!魏が許都だけ残して抵抗を続けて居たんだが今日降伏してな・・・」
「本当ですか!!」
丁霧季は再び起きようとしたが体が痛くて起きあがれなかった
「残るは蜀軍の居る益州のみだ、来週辺りから攻め込むぞ」
「仲謀様、その戦いにぜひ私も・・・」
「だめだ!」
丁霧季は孫権の返答に驚いた
今まで大きな戦いのときは必ず従軍していたのにここに来てダメとは・・・・
「何故です?良いじゃないですか!」
「だめだ!だめだ!傷ついている女を戦場には連れて行けない」
「・・・わかりました、今回はやめておきます・・・ですが成都決戦の際は!!」
「・・・しょうがない・・・決戦のときだけだぞ」
「はい!!」
こうして丁霧季は成都決戦に参加した・・・
そして蜀は孔明によって支えられていたが北と南から攻められては手も足も出ず、成都決戦に敗れた
蜀は呉によって併呑された



↑5000突破記念に、またも糜夫人さんに書いて頂きました!私の分身、丁 霧季の小説第2弾です♪
 しかも、呉が天下を統一するという、呉ファンの私には嬉しい展開です♪
 それに…今回も孫権さんと…♪しかも陸遜さんにまで助けていただいて、嬉しさ倍増です(≧▽≦)
 素敵な小説をありがとうございました!

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