『三國志演義 特選篇 3赤壁の戦い』(発売:コニービデオ)

管理人「この『三國志演義 特選篇』はドラマ『三国演義』(制作…中国中央電視台)を
     中国文学研究家・守屋洋氏の監修によりDVD全7巻に再編集したもので
     この第三巻には120分の本編『赤壁の戦い』に加え約10分の特典として
     『守屋 洋解説 三国志英傑伝・孫権』が収録されています」

孫権「特典が俺関連な上に、ケースの表紙・背表紙を飾る写真も俺だからという理由で
    購入したのか。単純な奴だ」

管理人「少しでも関連があれば買ってしまうファン心理の悲しさです(^^;;;まあ、それは
     さておき…。
     守屋氏の解説は

     孫権という男は小説でも実録でも影が薄い、迫力に乏しい
    
     と始まります」

孫権「初っ端から、なかなか手厳しいな…」

管理人「影が薄い理由に
     「孫権は創業者ではない」「恵まれた土地を本拠としている」
     との2点が挙げられていました。
     曹操・劉備はゼロからスタートした創業のリーダーなので、その生涯も波乱万丈の
     ものとなり、ドラマがある。
     一方、孫権は父・兄の後を継いだ三代目。受け継いだものを守る身で、今で言う
     守りの経営となる、というのですね」

孫権「まあ、流石に一から身を起こした者の劇的な人生に比べられるとな」

管理人「また、孫権が本拠地とした江東・江南は、気候は温暖で水が多く、緑も農作物も
     豊かな中国でも最も恵まれた地域であり、好んで他所に侵攻する必要はなく、
     むしろ本拠地を守ろうとする。よって孫権は守勢に傾き、守勢になるとどうしても
     地味になる、とのことでした」

孫権「しかし、『では孫権は凡庸なトップだったのかといえば、決して凡庸ではなく、
   曹操・劉備に対抗して首尾よく生き残った』
と、長所へと話は移っているな」

管理人「そうです、長所の一つ目として挙げられたのが『柔軟な戦略・戦術』
     孫権は、時に劉備と手を結んで曹操軍を迎え撃ち、劉備が攻め込んできたら
     魏と手を結ぶなど、その時々で最善だと思われる戦略戦術を使った。
     この柔軟性が孫権の持ち味で、取り得であり、巧みに生き残りに成功した…」

孫権「二つ目は『部下の育て方、使い方が非常に上手い』こと。
   よってその幕下からは、そうそうたる人材が育ち、ピンチに大活躍してくれた、というわけだ。
   確かに危ない時に色々と助けられたよなー、あんな時やこんな時…」

管理人「思い出に浸るのは後にして下さい^^;
     人材の育成と起用が上手いといっても、どのような部下の育て方や使い方をしたのかに
     ついては、正史に見える孫権さんの言葉が引用されていました」

孫権「 『貴其所長、忘其所短 (その長ずる所を貴び、その短なる所を忘る)』 

管理人「「その」とは部下のことであり「部下の長所を貴ぶ」とは長所を見つけて引き出してやること。
     「短なる所を忘る」とは部下の短所は忘れてやること。
     ただし忘れるといっても本当に忘れるのではなく『誰にどんな短所があるのかをしっかり
     把握していて、それを目くじら立ててとがめない』ということだそうです」

孫権「『人間は長所も短所も両方持っているもので、短所ばかり責められると人は萎縮しやる気を
    失くすもの。どんな相手にも良い面があるのだから、それを見つけて引き出してやるのも
    上に立つ者の大事な仕事であり、部下もやる気になるものだ』と、俺の育成の姿勢について
    語られている」

管理人「また『そうして育てた部下を孫権は信頼して使っていた』と人材活用の姿勢にも触れ、
     『一度信頼した相手は事情がどう変わろうと、最後までその信頼を変えなかった。
     信頼された部下もそれに応えようと、懸命に孫権を盛り立ててくれる。
     部下にとっては上に信頼されているかいないかは敏感に分かり、信頼されていないと
     思うとやる気をなくすが信頼されていると思うと、それに応えようとする。
     信頼して仕事を任せ、信頼して使う。これも部下をやる気にさせる大事なポイント』
     だと説明されています」

孫権「闇雲に人を信用するのも危険だがな。信頼できない者に大役を任せると
   足をすくわれることになりかねん」

管理人「その通り!
     『このやり方は"本当に信頼のおける相手なのかどうか"を慎重に見極めるのが前提』
     『リーダーは人を見る目を持たないと勤まらない仕事。孫権は信頼して部下を使ったと
      いってもその前に信頼のおける相手なのかちゃんと見ている』
     『大丈夫だと見極めた相手は信頼して仕事を任せた』と、
    孫権さんが無闇に人を信じたわけではない、人を見る目を持った人物である事も
    付け加えられていました。

    専門家の方から見た孫権さんの人物像は興味深いのですが、それを知る機会は
    書籍以外では余り無いので、貴重な特典映像かと思います。
    孫権さんの長所が簡潔に述べられていて、あらためて勉強になりました!」

孫権「それで『貴其所長、忘其所短』の記述が正史のどこにあるのかは説明されていなかったが
    ちゃんと調べたんだろうな?」

管理人「うう、それを訊かれると辛い…。
     ちくま文庫『正史 三国志7』の「呉書・周瑜魯粛呂蒙伝 第九」に孫権が陸遜と、
     周瑜・魯粛・呂蒙の三人の人物を論じた際の言葉が記され、その中で、魯粛が
     劉備に荊州を貸すよう勧めたのは失策だったとした上で

     『周公は一人の人間に万全の能力が備わっていることを求められなかった。
      それゆえ私は、彼の落ち度を忘れて優れた点を尊重し、つねづね彼を
      (後漢の光武帝の創業を助けた)ケ禹に比してきたのだ』


     と語られている部分は見つけました。
     孫権さんの人材の育成、活用の姿勢は、現代にも通じる教訓ですが、孫権さんもまた
     先人に学んでいらっしゃったようですね」

孫権「結局、正史の何処に記載があるかは明確には突き止められなかったわけか」

管理人「申し訳ありません…全ては私の不勉強のゆえ…もっと精進します…」

孫権「管理人の不勉強を詫びたところで、今回はここまでだ!」

管理人「それでは次回をお楽しみに!」



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