『呉書・三国志1 将の巻 孫堅伝』(講談社 著者:斉藤 洋)

管理人「『呉書・三国志』は、呉を建国した孫家三代…孫堅・孫策・孫権を主役として
     書かれた作品で、孫家父子は勿論、黄蓋・韓当・程普、それに祖茂など
     呉の人物が実に生き生きと、また人間的に書かれていて、呉ファンにとって
     涙物、垂涎物の作品です!今回取り上げる1巻目『将の巻』では孫堅さんが
     主役として書かれています(ちなみに2巻目『王の巻』は孫策、3巻目『帝の巻』では
     孫権が主役のようです)」

孫権 「父上が主役ってことは、俺は出ているとしてもガキの時分なんだろうな」

管理人「ええ、黄巾賊討伐に出陣する孫堅さんが息子達に別れを告げる場面では二歳で…」

孫権 「その後、登場する場面では七歳か。今回は、この七歳の俺を主に取り上げることに
     なりそうだ」

管理人「挿絵もありますよ!幼い孫権さん、丸顔で口が大きく、元気そうで可愛らしい姿に
     描かれていますv」

孫権 「ああ、それで今回のタイトルが『丸顔孫権』か。安直だな」

管理人「すみません、ネタ切れで…ちなみに挿絵を描かれたのは、あのモンキー・パンチさん
     です!私達の時代・国で有名な漫画家さんなのですが、モンキーパンチさんが
     描かれた孫権さんの姿を見られるというのは、とても貴重な事に思えます。
     その点でも、この本は一見の価値ありですねv」

孫権 「外見といえば…目については『西方の血がまじっているようで』目が青かったと
     書かれているな。この作品の俺も碧眼なわけだ」

管理人「そうなのですが、実はその目の色が、とある事件を引き起こしてしまうのです!」

孫権 「そりゃ、穏やかじゃないな。碧眼が大事を起こすのか?」

管理人「事の起こりは、孫策さん(14歳)が孫権さん(7歳)と一緒に、父・孫堅さんが太守を
     務める長沙の町を散歩していた時に…この兄弟の仲の良さは町でも有名で、
     孫策さんは何処に行くにも孫権さんを連れていったとのことですが」

孫権 「兄弟仲良くお散歩だろ?特に、事件が起こりそうにないが?」

管理人「ところがです!通りすがった商人が、事もあろうに孫権さんを指さし、
     『見てみろ。目が青い野蛮人の子がいるぞ』と、目のことをからかったのです!」

孫権 「そりゃまた、無礼な奴がいたもんだな。見ず知らずのガキ、いや、お子様を捕まえて
     野蛮人だと町なかで指さすってのは…」

管理人「"からかった"では済まされません!よその土地から来た商人で、相手が太守の
     子だと知らなかったようですが、誰にであろうと、こんな事を言うのは許されないです!
     しかも子供に向かって、大の大人が意地の悪い言葉を…見知らぬ大人に酷い事
     言われるなんて、子供は怖いし傷つくと思いますよ!」

孫権 「まあ、そう騒ぐな、落ち付けって(汗)商人に怒りを覚えたのは、お前だけじゃないぞ。
     この本の兄上(孫策)も、暴言吐いた商人を、あっという間に馬から引きずりおろして
     殴り飛ばし、助けに入った商人仲間も合わせて、五人全員ぶちのめしちまったん
     だからな」

管理人「大人を五人も、たった一人で叩きのめすなんて…14歳で、少しは大人と渡り合える
     力と背格好になってたとしても、並の強さではありませんね!暴力ふるうのは、どうかと
     思いますが、腹を立てる分だけ弟を思う気持ちが強いってことですし!
     弟のためにした事となると、微笑ましくも思えたり…」

孫権 「…人を叩きのめすのを、微笑ましく思っちゃいかんだろ^^;」

管理人「さて、孫策さんは弟に『どこかにいって、なわを持ってこい』と命じ、孫権さんが持って
     来た縄で、商人達をしばりあげ…」

孫権 「どっから持ってきたんだ!それに、よく素直に兄に縄を渡すよな。商人どもが兄に
     しばき倒されているのを見てるだろうに…この上、縄など渡したら、何をするか分かった
     もんじゃないと、ためらわなかったんだろうか?」

管理人「うーん、まだ子供ですし、お兄ちゃんの命令は絶対だったんじゃないですか?
     しかもお兄ちゃんは怒りまくっているわけですし、逆らうのは怖かったのかも?」

孫権 「もしくは、自分に暴言を吐いた奴らを、少しはこらしめてやりたかったのかもな。
     兄が仕返しをしてくれるんで、存外、喜んで縄を渡したかも?」

管理人「そんな…ここにいる孫権さんならともかく、この本の"権ちゃん"は、後で語るように
     礼儀正しく、優しい子なんですから、そんな事は考えないと思いますよ」

孫権 「俺なら考えかねなくって悪かったな…。しかし、実際、自分が野蛮人呼ばわりされた事を
     "権ちゃん"自身は、どう思ったんだろうな」

管理人「そこまでは文中に書かれていないので、どうとも言えませんが…」

孫権 「挿絵を見ると、意外と平然としているんだよな、"権ちゃん"。兄が縄で商人どもを縛り
     上げ、連行している場面なんだが」

管理人「そういえば…縛られてトホホな商人達と、縄じりを手にして得意そうな孫策さん…それを
     見ている"権ちゃん"は、確かにちょっと無表情ですね。他人ごとのように眺めている
     感じです」

孫権 「さて、縛り上げられた商人達は、集まってきた野次馬の話から、孫兄弟が太守の子だと
     知ったんだ。すると途端に『目が青いのは高貴な生まれにちがいなく…』だの、
     『うらやましく思います』だの、今度は一転、青い目を誉めそやし始めた。
     この変わり身の早さは、見え見えで腹立つなー。逆に怒りを煽りそうなもんだ」

管理人「おっしゃる通り、商人達の作戦は逆効果だったみたいで、孫策さんは、青いのが
     うらやましいなら体じゅう青くしてやる!…と、商人達を染め物屋に連行して、藍汁の
     大つぼに投げ込んでしまったんです(>_<)」

孫権 「さすが兄上、やる事が過激だ(汗)」

管理人「危うく溺れ死ぬところを、"権ちゃん"が『にいさん、もうかんべんしてあげて』と、
     『まるで自分がひどいめにあっているかのような泣き顔で』助け舟を出したんです!
     人の苦境を我が事のように思い、涙を流す"権ちゃん"…優しい心の持ち主ですねvv
     この思いやり、とっても素敵です!」

孫権 「まっ、"策ちゃん"も、頃合を見て勘弁してやるつもりだったんだろう。"権ちゃん"の発言を
     受け、ようやく商人らを壷から助け出した。これでめでたしとは、行かなかったけどな」

管理人「ええ、何しろ今度は呉の重臣達が騒ぎを聞きつけ、駆け付けて来たもんですから(^^A゙
     "権ちゃん"が馬鹿にされたと知るや、黄蓋さんは『その首、たたきおとしてくれるわ』
     鉄鞭をふりまわすわ、それをとめようとした韓当さんも、事情を知るや目をつりあげて
     『青い目が野蛮人なら、赤い目にしてくれる』と、商人らの目に弓矢を向けるわで…
     めでたしどころか、万事休すです…」

孫権 「公覆に義公とは、豪華な面子だ!この二人に、すごまれたのでは寿命も縮むだろ(笑)
     だが、まあ安心しろ。公覆も義公もおどしをかけるだけで、本気で命をとる気はなかった
     ようだし、最後に駆け付けた徳謀(程普)が、商人らを解き放し、逃がしてやって、
     事無きを得たからな」

管理人「三人の重臣が次々現れたのは『孫策・孫権の兄弟が家臣に人気があったから』で、
     兄弟に何かあると、いつも三人が駆けつけてくるそうで。"権ちゃん"、家臣さん達からも
     大変、大切に思われているんですねv特に韓当さんは
     『孫権さまをばかにするなど、とんでもないことです』
     と言い切っていらっしゃいますし!よくぞ言って下さった!と、拍手喝采をお送りしたく
     なりましたvvv」

孫権 「ちなみに商人らのその後だが、一ヶ月後に再び長沙へ商売しに来た時、"策ちゃん"が
     乱暴のお詫びに御馳走をふるまい、その人柄に商人らはすっかり惹かれてしまいました
     とさ…との見事なオチがついている」

 

 

管理人「さらに、この作品の"策ちゃん"は占いが大嫌いです。町で占い師を見つけると
     『今日のお前の運命を占え』と命じ、もし占い師が『今日の私は運が良い』との占いの
     結果を言おうもんなら『これでも運がいいか!』と、その占い師をボコボコにとっちめて
     城門の柱に縛りつけた上に、「私はインチキ占い師です」と書いた札を首にかけると
     いう有様で…。これには黄蓋さんも韓当さんも面白がるだけだったので、占い師を
     助けるのは、大抵は程普さんか、"権ちゃん"だったのです」

孫権 「徳謀も大変だな!主人の子が起こした騒ぎを、いつも処理せにゃならんとは」

管理人「"権ちゃん"は小さい手で占い師の縄をほどき、『兄上は占いがきらいだから、
     兄上を見たら、すぐに逃げなきゃだめだよ』
と親切に忠告をしてあげる上に
     『これは、兄上がらんぼうしたおわびです』と、自分が身につけている帯を渡して
     丁寧に謝罪するんですよ!7歳にして、この礼儀正しさ、優しさ、親切さvv
     将来、大物になることを感じさせます。兄のフォローをしっかりしているところも、
     なかなか頼もしいですね」

孫権 「次男・孫権が、帯の代わりに腰に縄を巻いているのを見ると、父・孫堅は、長男・孫策が
     また占い師を痛めつけたと分かるとのことだが…腰に縄って(汗)別の帯、持ってないん
     か?」

管理人「縄ですませる大雑把さというか、こだわらなさと言いますか…その辺も孫権さんらしい
     かもしれませんねv」

 

 

孫権 「父上主役の巻だけでも、幾らか俺に関して見るべきところが有ったわけだが、
    『呉書・三国志』三巻では、俺が主役になってんだろ?そっちでは、俺がどんな人となり
    に書かれてるんだろうな」

管理人「う〜ん、私も凄く興味ありますし、何とか確認したいところですが、残念ながら
     2004年4月時点で、『呉書・三国志』全三巻は絶版で、入手困難なんですよ…。
     どなたか、この作品の孫権さんについて詳細をご存知な方がいらっしゃいましたら、
     お教え頂けると嬉しいです^^;何とぞ!!」

孫権 「おっ、待て。一巻のカバーに、シリーズ全三巻の宣伝文が載ってるぞ」

管理人「あ、本当だ!何々…三巻目『帝の巻 孫権伝』の紹介文によると、孫権さんは
     『優しい気質の、どちらかというと戦国の大将にふさわしくない若者』とのことです。
     優しく礼儀正しい"権ちゃん"は、やっぱり心優しい青年に成長したんですねvv」

孫権 「そして『兄が志なかばで倒れた後、真の平和を求めて周瑜と呉国を建てる』ようだな」

管理人「真の平和を求めて………なっ、なんか、うさんくさい!」

孫権 「何でだよっ!俺が真の平和を求めちゃいけないってのか!?」

管理人「いえ、この作品の孫権さんであれば納得出来ますが、ここにいる孫権さんには
     まるで似合わな…いっ、いえ、平和を望む気持ちは大切ですよ、はい!」

孫権 「お前も変わり身の早い奴だな。では、真の平和を求めつつ、今回はここまでだ!」

管理人「それでは、次回をお楽しみに!」

 

 

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