『呉・三国志 長江燃ゆ』(集英社 伴野朗) 1巻目 孫権 「この『呉・三国志』という小説では、呉を主役とした三国志話が書かれていると聞いたが…本当か?」 管理人「もちろん、本当ですよ!なにしろタイトルが『呉・三国志』ですから♪『呉・三国志』の一巻のオビにも 『――呉から見た三国志が書けないものか。そう思うようになったのは、新聞記者時代の最後の 三年間、上海で生活した時だった』との、著者の伴野 朗先生のお言葉が載せられています」 孫権 「おおっ、そうなのか!我らの呉に目を向けて頂けた上に、呉から見た三国志を書きたいとまで 思って頂けたとは…喜ばしいことだよな」 管理人「呉ファンとして、私も嬉しいです!それにこの小説では、孫権さんの出番がかなり多いですし、しかも 孫権さんの扱いもとても良いので、孫権さんファンとしてさらに嬉しいですね」 孫権 「出番が多い上に、俺が良く書かれているのか!それは、ますます喜ばしい!」 管理人「それでは、今回は1巻目に出てくる孫権さんの姿を取り上げますね。…といっても、1巻目には 孫権さんはあまり出てきません。1巻目の主役は、孫堅さんと孫策さんですから」 孫権 「父上と兄上が活躍されていた時には、俺はまだ幼かったり、大きな動きも無かったりするからな。 出番が少ないのも、仕方が無いか」 管理人「そうですね。まあ、孫権さんは幼くなくても、大きな動きが有っても、小説などでの出番は少ないこと の方が多いですけど^^;」 孫権 「それを言うなって…。折角、この作品では出番が多いという話なんだからな… 」 管理人「まずこの作品での孫権さんの紹介は、『――江東の碧眼児と、呼ばれる少年がいる』『この異称は、 孫策が、その強さの故に、――江東の小覇王。といわれていたことと対をなす。この少年の瞳は 青みがかっていたのだ』と、格好良く始まります♪兄と弟で対になる異称で呼ばれているのって、 兄弟どちらも優秀で、しかもその優秀さを周囲の人々に認められているという感じで、何だかとても 素敵ですv」 孫権 「呉三国志の俺も、やはり瞳の色が青いのだな。それから、兄上が俺の才能を評価して下さっている ことに触れ、呉三国志の俺の性質について『まず、人間の器の大きさである。度量があり、思いやり が深いのと同時に、決断力が備わっていた。人々が自然に彼の周りに集まってくるというのも、 大きな魅力であった』と、紹介されている。これだけ見ても、かなり誉められているなぁ」 管理人「そうですね〜、呉三国志の孫権さんは、人としての器が大きく、度量が広く、思いやりがあり、しかも 決断力もあり、人が自然に集まってくるような人望もある人…ってことになりますから、最初から ちょっと誉められ過ぎのような気もします。しかも『――ひょっとすると、俺より上かもしれない。 時々、孫策は、そう考えることがあった』とも書かれてますから、孫策さんからの評価も非常に 高かったようですね」 孫権 「兄上がそれだけ俺の才能を認めて下さっている、というのは嬉しい書かれ方だ。まあ、兄上より 上かもしれないというのは、言い過ぎだと思うが(笑)」 管理人「『孫策の嘱望ぶりは、孫権の評判を高めるのに拍車をかけた』ということで、孫権さんが朝廷からの 勅使・劉[王宛](えん)さんに、将来高貴な位に昇るだろうと予言されたエピソードも、ここで 紹介されています。孫策さんが遠方の地からも、怠り無く献上物を納めてくることに報いるため、 朝廷から使者の劉[王宛]さんが遣わされて、孫策さんに錫命(せきめい:錫は賜(たまう)の意味が あり、天子から使者が遣わされて、功労のあった臣下に天子の言葉や礼物が下賜される儀式) が加えられたのですが…」 孫権 「使者の役目を果たされた後、劉[王宛]殿は、人に語ってこう言われた。『私が見るところ、孫氏の兄弟 はそれぞれに優れた才能と見識とを備えているが、みなその禄祚(さいわい)を完う(まっとう) できそうもない。ただ、中弟の孫仲謀だけは、人並みすぐれた容貌をしており、骨相も非凡で、 高貴な位に升る(のぼる)兆しが見え、年齢の点でも最も長寿を得るであろう』、と。この話は正史にも 記述されているエピソードだ」 管理人「その他、孫権さんが15歳で陽羨県の長に任じられたこと、郡からは孝廉の資格を認められ、 揚州からは茂才に推挙され、奉義校尉代行の職務に当てられたことなどが書かれていますが、 そこまでで、取りあえず孫権さんについての紹介は終了しています。この後、暫く孫権さんの 出番はありません^^;」 孫権 「では次に俺が出てくるのは、どの辺りなんだ?」 管理人「ええと…次に孫権さんが出てくるのは、孫策さんが許貢の食客に襲撃されて、毒矢を射られ、 重症を負われてしまった辺りですね…」 孫権 「いきなりそんな悲しい場面まで、とんでしまうのか…」 管理人「はい…負傷された孫策さんを救うため、名医・華佗先生が、孫策さんの傷口を切り開き、毒に犯された 患部を切除するという大手術を行なわれるのですが、その手術の間、十八歳の孫権さんは、孫策さん の無事をただひたすらに祈っていらっしゃるのです。『神よ、なにとぞ兄孫策の命を守りたまえ!』と…」 孫権 「『兄に万一のことがあれば…』と、不吉な予感が、呉三国志の俺の頭を過り、そうなってしまった場合 『家督を継ぐのは、孫策の子、孫紹であろう。周瑜や自分が補佐することになろう』と考えるんだよな…」 管理人「でも孫権さんは『だが、そんなことになってはならない』とすぐに思い直すのです。さらに『孫権は、 兄孫策に満腔の信頼を寄せていた』と続きます。心からの信頼を寄せている孫策さんが瀕死の重傷を 負われてしまったのですから…辛いですよね…」 孫権 「だが、兄上は助かったんだ!華佗先生が、これ以上は望めないほどに手を尽くして下さった おかげで、兄上は手術後、三日三晩眠られた後に意識を取り戻されたんだよな」 管理人「はい!そして孫策さんが意識を取り戻された時、孫権さんは顔を輝かせて、ホッとされています♪ 『兄に従っていく。いまの彼には、それしか考えはなかった』と心情も説明されていますしv」 孫権 「顔を輝かせて…か。余程、嬉しかったんだろうな」 管理人「嬉しかったんでしょうね(^^)孫策さんに助かって欲しいという、必死の願いが通じたのですから!」 孫権 「兄上に従っていくことしか、考えていないという点からも、この作品の俺が兄上を強く信頼し、また、 強く慕っていることが覗えるよな。我ながら、良い弟ぶりだ(笑)」 管理人「ですが、喜ばれたのも束の間…間もなく孫策さんは亡くなられてしまいます…」 孫権 「そうか…この作品においても、運命を変えることは出来なかったのだな(泣)」 管理人「はい…倒れられた孫策さんは、苦しい息の下から『仲謀をよろしく頼む…』と、周囲の方々に 言われます。後継ぎには、弟の孫権さんを指名されたということですね」 孫権 「呉三国志の俺は、戸惑いを感じて『紹殿ではござりませんか?』と、兄上に尋ねるんだ」 管理人「孫紹さんというのは、孫策さんと大喬さんの間に生まれた、孫策さんの長男だ…と書かれてますね」 孫権 「ああ、そうだ。嫡子をさしおいて、弟を後継者に指名したことに、呉三国志の俺は戸惑いを感じて 上記のように尋ねたということらしい。それに対して、兄上は『わしの跡を継ぐのは、紹ではない。 お前だ……』と答えられている。その言葉には、『わが子、孫紹まで待てない。いや、乱世は待って くれない』との思いが込められていたんだ…最期に兄上は『お、お前の才幹を生かせよ…』と言い 残されて、亡くなられてしまう……。」 管理人「乱世は待ってはくれない…本当に、乱世は非情ですね…。こうして、孫権さんが孫策さんの後を 継がれたところまでで、1巻目のお話は終ります」 孫権 「後を継いだ俺がどうなるのか…その話は2巻目から始まるのだな。2巻目以降の俺が、どう書かれて いるのかも、しっかりと読んで、しっかりと取り上げるんだぞ!」 管理人「がっ、頑張ります^^;それにしても、1巻目の孫権さんは出番が少ないにも関わらず、兄・孫策さんの ことを思いやる、健気な姿がやけに印象に残りました。こんなに出番が少ないのに…」 孫権 「いちいち出番が少ないことを強調するな!」 管理人「あら、怒らせちゃいましたね…^^;そっ、それでは早く終らせて逃げてしまいましょう! 次回をお楽しみに〜」 孫権 「こらっ、逃げるな!」 |
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