呉と蜀・・・夷陵にて激突

揚州、交州・・・そして荊州を手に入れた呉は軍事力を強化していった・・・
荊州から蜀を追い出す事に成功した呂蒙も死んでしまった呉は若い武将の成長を願っていた
そこに、呂蒙の後継ぎとして陸遜が軍師・・・大都督として任命される・・・
それが最有力候補であった・・・しかし、陸遜は軍師にはなれたが大都督にはなれなかった
大都督になったのは陸遜と同期の丁 霧季であった
この丁 霧季と言う人物は陸遜と共に孫権に仕えた人物
仕え始めた頃から陸遜と共に活躍してきた・・・
そんなある日、孫権に二人は呼び出されたのだった

「孫権様、陸遜、丁霧季参りました」
孫権の部屋の前で立ち止まり中を見ると孫権は二人を座って待っていた
「おぉ、来たか・・・二人に相談したい事があるんだが・・・」
二人は孫権の用意した椅子に座り相談事を聞いた
「最近蜀が荊州側で兵を集め訓練しているらしいが蜀は我呉に攻めこんできそうか?」
二人は考え込んだ・・・前から二人の耳にも入っていたがそれほど危険性は無いだろうと考えていた為だ
先にその沈黙を破ったのは丁霧季であった
「孫権様、蜀は我呉に関羽を討ち取られた恨みがあります・・・そのため
 攻めこんでくる可能性は十分有ります」
陸遜もその意見を聞いて孫権に言った・・・
「そうです、丁の言うとおり荊州に攻め込んでくる事は必至です」
孫権は二人が開戦論だと知ると奥から剣を2つ持ってきた
「丁、お主にはこの勾玉剣を・・・陸遜には飛燕を授け、二人に荊州防衛を命じる」
「ははっ!」
その日の夜、丁と陸は小屋に戻って荊州防衛作戦について話し合っていた
「間者からの報告によると約三十万の兵が駐屯しているらしい」
陸遜が机の上に荊州防衛の要所となるであろう土地の地図を出した
「まず、蜀軍が進んでくると思われるルートは北の山を迂回してくるルート、西から河を渡るルート、
 南西からの直進ルート」
「あぁ、ここは四つに軍を分け迎撃部隊を3つに・・・城に一つの部隊を残して・・・」
丁霧季が部隊を配置する所に印をつける
「う〜ん・・・そうだ!丁、ここら辺に伏兵を置いといて・・・敵が通りすぎた後
 火計で敵の物資を焼いてはどうかな?」
「そうですね、伏兵をここに置いて・・・」
そこにも印をつける・・・
「後は向こうに行って実際見てから考えよう」
「そうですね」
こうして作戦は一応できた二人は寝床に向かった・・・

そして・・・次の日の朝

陸遜と丁霧季は急いで現地へと向かった
「ん・・・?陸、あれ孫権様じゃないか?」
丁霧季が城壁の上を指差す、しかし陸遜には良く見えなかった
「違うだろ・・・今孫権様は・・・」
と、丁霧季が指差した男は城壁の上から此方に手を振って何やら叫んでいる
「やっぱ・・・孫権様だ」
「い・・・行ってみよう」
二人は急いで城壁の上に向かった・・・
城壁の上に着いてみると丁霧季が指した男はやはり孫権であった
実は昨日の夜に孫権はこちらに着いていたのだ
「陸、丁、私も共に戦うぞ・・・おぬし等の戦いはどのような物か見たくてな・・・」
二人は顔を見合いとても嬉しそうに返事をした
自分の殿に自分たちの活躍する所を見てもらうなんて一生に1度有るか無いかである
さっそく布陣を決めた二人は将に兵を持たせ配置につけた
そこに偵察に出ていた斥候が戻ってきた
「やはり蜀軍はこの呉に攻めこんできたようです、ただいま南西ルートと北ルートの2方向から
 攻めこんできております」
二人も急いで準備した・・・
「多分相手は明日の朝から攻撃を開始するだろう・・・それまでじっくり休んでおけよ、陸、丁」
「ははっ!」

そして・・・決戦当日

その日、朝早くから敵陣営の偵察をしていた丁霧季が帰ってきた
「敵の布陣はどのような物だった?」
陸遜が近くに駆け寄り丁霧季に聞いた
「相手は一気に勝負をかけるようです、篭城は危険ですから討って出た方が良いかと」
丁霧季が孫権に聞くと・・・
「あぁ、しかし今回は私だけ城に残るよ」
孫権は陸遜と丁霧季から五千ずつ兵を分けてもらい一万五千の兵士で城に残る事となった
陸遜は作戦通り敵の主力部隊が通ると思われる場所に伏した
丁霧季は別働隊を叩き、甘寧、太史慈両軍は主力部隊奇襲後
主力部隊を囲み叩くという作戦になっていた・・・
「皆作戦通り動くのだ!!」
こうして呉軍は布陣が完了した・・・

暫らくすると南西ルートから関興、張苞部隊が進んできた
急いで丁霧季は南西ルートへと向かった
「良いか!ここは一旦負けたふりをして敵を誘い込み左右から攻めるのだ!」
ちょうど狭い道の所で呉、蜀両軍は激突した
やはり連戦連勝で士気の高い劉備軍、さすがの丁霧季も押され始めた
「そろそろ引き時!皆退けい!!」
丁霧季の命令によりぞろぞろと撤退を始めた
しかし、関興の部隊は追って来なかった・・・張苞の部隊はまんまとはまり追撃してきた
「今だ!攻撃開始!!」
左右から飛び出してきた呉軍に張苞軍は囲まれた・・・
「よし!取って返して攻撃だ!!」
逃げていた丁霧季も直ぐに退き返し再び戦闘を開始した
そこに関興の部隊が張苞を助けに後ろから迫ってきた
「行け!董襲!!」
ワーーーーーーーーーーーー!!
董襲の騎馬隊が関興の部隊の八方から順順に突撃を開始する
敵が出てくる場所が1回1回違うので関興の部隊は完全に指示が通らなくなった
「ふふ・・・このまま行けば・・・」
その時丁霧季は後方に火の手が上がっているのに気がついた

「ん・・・あれは・・・城!!」
そう!劉備軍は南西ルートを囮とし北ルートは主力、東から回りこんで城を襲ったのだ
張苞の部隊を破った丁霧季は半分を関興にまわし残りの兵士で城へと向かった・・・
途中、陸遜の部隊に使者を出し城へと向かった
城に着くと周りには馬良の軍勢が取り囲んでいた
城は今にも落ちそうで中の兵士も数は少なそうだった・・・
「急いで城に戻り、孫権様を助け出すのだ!!」
丁霧季は小高い丘から一気に城へと走った・・・しかしその時前方から伏兵が出てきた
「しまった!伏兵か!・・・しょうがない・・・このまま突撃だーーー!!」
ワァァァーーーーーー!!
丁霧季の部隊は敵伏兵部隊を突き破り城へとたどり着いた・・・
なんと西の門だけ敵が居なかったのでそこから城へと入った・・・
孫権の部隊は7千ほどで丁霧季の部隊は残り一万ほどであった・・・
敵の馬良の部隊は五万・・・相手のほうがどう見ても多い・・・

「孫権様ーー!!孫権様ーー!!」
丁霧季が城内を走り回って孫権を探しているとそこに敵兵が数人現れた
「く・・・もう城内に敵が・・・」
丁霧季は自ら剣を取り敵に斬りかかった
敵は数人居たが丁霧季の見事な剣捌きの前に沈黙した
「これでは孫権様が危ない、急いで探さねば」
そこに腹心の兵士が一人走ってきた
「都督殿、孫権様は北門にて敵と戦闘中です」
急いで丁霧季は北門へと向かった・・・
そこに着いてみると孫権は敵兵数名を相手に白兵戦を展開していた
「孫権様!」
丁霧季は再び剣を鞘から出し敵の集団へと突っ込んで行った
剣捌きは甘寧にも劣るか劣らないかぐらいである
その丁霧季に敵兵は恐れをなし城壁から逃げ出した
「孫権様!無事でしたか!!」
剣を鞘にしまい孫権に近づいた
「あぁ、なんとかな・・・ここの敵は下にいるのだけだが・・・」
その時一本の流れ矢が孫権めがけて飛んできた!!
「孫権様!危ない!!」
ざくっっっ!!!!
弓矢は孫権めがけて飛んできていたが丁霧季が体を張ってその弓矢を代わりに受けたのだ
「大丈夫か!!」
急いで孫権は自分の服を裂き丁霧季の傷口にまいた
「す・・・すいません」
矢は右足の太ももに刺さっていた・・・
(思ったより深く刺さってる・・・)
丁霧季は自分でその矢を抜き地面に捨てた
「丁よ、お前はここで休んでいろ」
孫権は丁霧季を物見やぐらの足の所によっかからせ再び北門へと向かった

暫らくすると足からもだいぶ痛みが取れてきた…しかし、動かすとまだ痛かったが丁霧季は北門へと急いだ
そこには孫権が数名の兵士と共に敵兵数名を倒し終えた所であった
「丁、もう動いて平気なのか?」
孫権が急いで丁霧季の元へと駆け寄ってきた
「はい、少し痛みますがもう大丈夫です」
孫権は丁霧季と共に南門に向かうと敵の将軍馬良が居た
「孫権か!その首貰うぞ!!」
馬良は数名の兵士に命じ孫権を襲わせた
「ふん!こんな一般兵にやられるか!!」
丁霧季よりも剣の腕は上の孫権は目にもとまらぬ早さで敵兵を全て倒してしまった
馬良は敗走していた関興の部隊と合流したらしく、そこには関興の姿もあった
「私が相手だっっ!!」
関興は大薙刀を振り回し孫権に襲いかかった
そこに数名の敵兵も襲いかかり孫権は苦戦していた
「孫権様!加勢します!」
丁霧季は剣を出し関興に斬りかかった
「でやぁぁぁぁぁ」
最初の一撃は完全に敵に読まれていた
(次で決める!)
丁霧季の一撃は関興を捉えた筈であったがさっきの傷口が痛み出し少しかすった程度にしかならなかった
「もらった!!」
おもいっきり振り下ろされた大薙刀が丁霧季に当たりそうになる、だが間一髪の所でよけた
「はぁ・・・はぁ・・・」
丁霧季は傷口が痛いのに我慢していた・・・
(次こそ!)
傷が気になるせいか集中できず敵に攻められてばかりだった・・・
「てぇぇぇい!!」
最後の気力を振り絞って関興に斬りかかったが足の痛みのせいでその場に倒れこんでしまった
「はぁ・・・はぁ・・・」
もう動く事もままならない丁霧季に関興が近づいてきた・・・
「これで終わりだ」
そう言うと大薙刀を振り下ろした・・・
(もう終わりだっっ)
そう思った瞬間孫権が間に入りギリギリの所で関興の攻撃を止めた
「たあああっっっ!!」
孫権の一撃が関興の首を落とした
「敵将関興討ち取ったリーーー!!」
その勢いに乗って城内の呉軍は猛反撃を開始した
そこに敵主力部隊を倒した陸遜、太史慈、甘寧が駆け付け董襲も攻撃を開始した
馬良は西門に居た呉班と共に逃げ出そうとしたが陸遜の追撃により討ち取られた
この戦いは呉軍の勝利となった

数日後・・・
「丁よ・・・本当にやめてしまうのか?」
孫権に呼び出された丁霧季は都督退職を願い出ていた
「はい・・・あの時の戦いの傷がまだ治らないので暫らく休養したいと思っております」
「では、傷が治ったら戻ってくるのだな?」
孫権の質問に丁霧季は少々戸惑いを見せたが一言ハイと言ってその部屋から出ていった



後書き・・・
予定していたものと少し変わってしまいましたが思っていたものよりよい物ができました
ここまで読んで下さった皆さん有難うございます


糜夫人さんからの頂きもの小説第二弾です♪何と、丁 霧季(女)という名で私を登場人物として書いて
下さいました(≧▽≦)恐れ多くも、私が陸遜をさしおいて大都督に!しかも、実際の私には似ても似付かない
強くて賢くてカッコイイ私(の分身 丁 霧季)を書いてくださり、大感激です!!
しかも大好きな孫権さまに助けられたり、助けたり…もう嬉しくて嬉しくて、自然に顔がにやけてしまいます(汗)
素敵な小説を、本当にどうもありがとうございました!

 

       

             〈戻る〉

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送