夏が過ぎ・・・秋、冬、春が過ぎ・・・
呉には再び夏がやってきた

海の見える丘で寝ていた孫権の横には丁霧季が座っていた
涼しい風が吹く中、孫権は幸せそうな顔で熟睡していた
「仲謀は毎日大変そうだもんね・・・」
丁霧季が誰に言うでもなく独り言を言い孫権の髪に軽く触れる
「丁殿――!」
丘の下から1人の男が走ってきた
良く見れば徐盛だった
「文嚮殿、これはこれは・・・」
徐盛は丁霧季の横に座ると、懐から書簡を出した
その書簡を受け取った丁霧季は目を通した
「私が・・・越賊討伐の隊長?」
「はい、他の者は出払っておりまして・・・」
「う〜ん・・・」
孫権が目を擦りながら起きあがった
「あ、仲謀殿、起きましたか」
「おはよう、丁」
孫権は丁霧季の持っていた書簡を分捕ると目を通した
「越賊・・・討伐?!」
「あはは」
「あははじゃない!第一何で丁が・・・父上に直訴して他の者を遣る様に言ってやる!」
孫権は立ちあがると、馬に乗って駆けて行ってしまった
「あ・・・一寸ー!」
丁霧季が静止するまもなく孫権は行ってしまった
「すいません、文嚮殿・・・馬に乗せてもらえますか?馬が1頭しかいないもので・・・」
「いいですよ、さ、急ぎましょう」
徐盛に導かれるまま、丁霧季は馬に乗り孫権の後を追った

―――――建業城
丁霧季が城につくと、既に孫権は父孫堅と話していた
「父上、丁が越賊討伐隊長とはどういうことですか!納得できません!!」
「だから、お前が言ってるのは我侭であって・・・」
「我侭じゃありません!丁はあれでも女です!前線に立たせるなど・・・」
「何を言うか!丁は同盟がなる前に数々の戦功を挙げたではないか!!」
「戦功は挙げましたが総大将など経験してません!丁には危険過ぎます」
「丁はあれでも歴戦の武将と名高い!総大将を任せても良い頃だ!」
丁霧季は二人の間に割って入った
「2人とも、熱くならないで・・・」
「丁、俺はお前のためにだな・・・」
孫権が丁霧季に抑えられ小さな声で呟く
「丁・・・お前は如何なのだ?」
孫堅が越賊討伐隊長の任について丁霧季に聞いた
「それは・・・ご命令とあらば前線に立ちますが・・・」
「だめだ!丁、危ない前線にお前を行かせられるか!!」
「仲謀殿!父上が言う通りそれは我侭ですよ!!」
丁霧季に怒鳴られ孫権はシュンとした
「私の身をあんじてくれるのは解りますが・・・父上に対して無礼でしょう」
「す・・・すまん」
孫権は子猫のように小さくなっている
「殿、今回は是非この私めにお任せ下さい」
その様を見ていた孫堅は首を横に振った
「今回は別の者に任せるとしよう」
「し・・・しかし」
「良いのだよ、丁」
孫権は大喜びだったが丁霧季はいまいち腑に落ちなかった
「・・・ふぅ」
溜息をついた丁霧季はその場から立ち去った

丁霧季は再び海の見える丘に来ていた
その横にはやはり孫権がいた
「全く、仲謀殿・・・これで何度目だと思ってるんですか」
「さぁな・・・」
「さぁな、じゃないでしょう!仲謀殿は私を後宮に隠しておくおつもりですか」
孫権は少し考え込んだ
「それも良いかもな」
「仲謀殿!」
「冗談だよ、冗談」
孫権は丁霧季の手を引くと、海岸へと降りて行った
「丁、お前はどうしたいんだ?」
「え?」
「お前は・・・どうしたいんだよ」
孫権の突然の問いに、丁霧季は答える事が出来なかった
「それは・・・すぐには答えられない問題です・・・時間を下さい」
「わかった・・・」
孫権はその場に腰を下ろすと、じっと海を眺め始めた
(仲謀殿と一緒には居たい・・・でも、そのために仕事を蔑ろにしては・・・)

「丁、答えは見つかったのか?」
孫権は後ろで立ちすくんでいる丁霧季の方を見た
「答えは・・・仲謀殿とずっと一緒に居たい」
「・・・」
「でも、仕事を蔑ろには出来ません・・・これは、我侭なんでしょうか?」
「俺からしたら・・・我侭かもしれん、しかし、お前はどう思うんだ?両立については」
孫権は丁霧季を自分の胸元に引き寄せた
そして、力の限り抱きしめた
「私は・・・仲謀殿とずっと一緒に居る方が大切です」
「なら、お前が先程言ってたように後宮に隠すことになっても良いのか?」
丁霧季はうっすらと笑みを浮かべると一言返事をした
「はい」
「丁、やはり俺にはお前が必要なんだ・・・」
その時、2人に突風が吹きつけた
その風は2人の香りを何処までも運んで行った・・・

↑百蓮さんからの頂き物小説です!以前百蓮さんから頂いた「水遊」の後日談の
 お話を頂きましたv
 丁 霧季…愛されていますね〜vv危険な戦に出したくないからと心配してくれたり、
 堅パパに談判したり…。それに「お前が必要なんだ」という、素敵な台詞!実際に
 言われたら、舞い上がってしまうほど嬉しい台詞です〜(*^▽^*)
 また丁 霧季もけなげで…。一緒にいたいけれど仕事もあるし…でも、やはり
 孫権さんと一緒にいる方が大事なのですね(^^)それで良いのです!(爆)

 またまた素敵なお話をありがとうございました〜♪


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